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ウエイトリフター 山本俊樹選手(ALSOK)|我が“脚”で、頂へ【後編】

ウエイトリフター 山本俊樹選手(ALSOK)|我が“脚”で、頂へ【後編】
森 和哉
フィジカルデザイナー3年 前
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マイプロテインのサプリメントを愛用してやまない、ウエイトリフティング界のカリスマ山本俊樹選手。数々の日本記録を樹立し、全日本選手権三連覇を含む六度の制覇、2019年世界選手権5位の輝かしい実績と共に、東京五輪での表彰台を目指します。

前編では主にトレーニングについてお話をうかがいました。この後編では休養や食事・サプリメント中心のお話となります。ALSOK公式YouTubeチャンネルのご視聴と併せて、お楽しみください。

(本記事は現在、チャンネル内にて公開中の対談コメント抄録にインタビューを加え、再構成したものです) 

ALSOK [MUSCLE MEETING 2021/筋肉対談] の動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=HP-V8QAstKI&t=270s

休養と体重管理、食事・サプリメント

【休養】

疲れがたまっていると感じたら、トレーニングを行わずに休養することもあります。高重量を扱うのでケガをしないことが大切です。同様に関節への負担を避けるため、他のスポーツはやりません。

--ディトレーニングとして、あらかじめ休養期間を設けたりはされていますか?

いいえ、設けていません。競技上、どうしても筋量が必要になるので、強化期間があればその間は筋肥大トレーニングに充てることになります。ただ、試合直前期はピーキングによりフィジカルトレーニングのボリュームを落としているので、身体は休まっているのかもしれませんね。疲労を抜きつつ試合に臨む流れです。 本当はトレーニングしたいんですけど、セーブしています。なので、試合後は心置きなくトレーニングでき、それはそれで楽しいですね。

筋トレ大好き!と語る山本選手。リラックスポーズ?

【体重管理】

競技に向けた減量幅は5キロ程度です。(試合日に向け体重を調整しつつ)試合3日前から炭水化物の量を徐々に増やします。いわゆるカーボローディングです。ウエイトリフティングでは試合開始の2時間前に検量が行われるので、3日前から準備するようにしています。

試合当日までは(目安体重から)500グラム程度余裕をもたせた減量を行い、炭水化物を摂取できるようにしておきます。炭水化物を入れていくと、やはり血管の張りなどが違ってきます。エネルギーが行き渡るようでコンディションがいいんです。検量後は水分補給のみで、こういう調整法は僕だけでしょうね。

--現在の体重はどのくらいですか?

100キロくらいです。2018年5月の全日本選手権は85キロ級で出場しました。そのあと8月のアジア競技大会も85キロ級です。その後オリンピック選考の89キロ級に合わせるため、11月頃から増量を開始し、いったん92キロまで上げました。それから1年間は92~93キロをキープ。2020年3月にオリンピック延期が決まった際、(階級のルール変更もあったため)96キロ級で戦える身体を作ろうと思い、2か月かけて103キロまで増量し、今に至っています。

--具体的な減量方法を教えてください。

85、89キロ級の頃は、トレーニング3~4時間前に炭水化物を入れるのみで、それ以外はほぼ(炭水化物を)カットしていました。

--炭水化物がないとトレーニング時にエネルギー不足を感じませんか?

大会に向け重量を扱う日と技術練習日があり、おのずと消費エネルギーは変わってきます。重量を扱う日には少し多めに炭水化物を摂るなど調整していました。いずれにせよ、大会ひと月くらい前からは日に何度も体重を測りますので、タンパク質摂取は欠かさず、その数値を見ながら減量に取り組んでいましたね。

300kg超えフルスクワット

【食事・サプリメント】

食事は、豚肉・鶏肉中心に、野菜を加えバランスを考えています。

減量期は、野菜を中心に鶏むね肉でタンパク質を欠かさないようにしていますね。増量期、強化期には、ここに炭水化物を加えることでエネルギーの確保を図ります。 野菜ではトマトが好きです。リコピンによる抗酸化作用もあるので好んで食べています。

食事の頻度としては時期により異なりますが、1日3回、多くて5回程度でしょうか。この食品・食材ならどの程度のカロリーがあるか、だいたいわかるので厳密なカロリー計算は行っていません。

山本選手が作った食事。彩り豊かで…おいしそう!

プロテインを本格的に飲み始めたのは、社会人2年目からですね。今では欠かせなくなりました。いつもシェイカーに入れて持ち歩いていますし、遠征時には5キロくらい持っていきます。摂取タイミングは、起床時、トレーニング前・中・後、間食、就寝前でしょうか。日に6回くらいです。

お気に入りは、マイプロテインImpact ホエイ プロテインのミルクティー味です。紅茶飲料を飲んでいるようでおいしいんです。プロテインを飲んでいる感じがまったくしません。今はもっぱらこのフレーバーです。

サプリメントでは、ほかにクレアチンマルチビタミンEAA亜鉛マグネシウムなどを摂っています。脂質には気をつけているので、オメガ3などで良質な脂質(フィッシュオイル)を摂取するよう心がけています。

ルーティン

--対談の中で、ルーティンについてお話されていました。試合時の緊張を和らげるため練習から行っているとのことでしたが、いつ頃から取り入れたのでしょうか?

2016年からです。僕の場合、モチベーションの低下を防ぐというよりも、モチベーションが過剰になり、追い込み過ぎるのを防ぐために取り入れました。それまでは試合直前にオーバーワークとなり、ピーキングが合わないことがあったんです。

ルーティンを取り入れたことで、すぐに結果が出たわけではありません。ただ、自分のいい時の試技動画を見返してみると、一定の動作があることに気が付きました。リフティングで同じ動作をするのは当然なのですが、試技に入る前の間やしぐさなど、同じ動作をしていることに気が付きました。もちろんルーティンだけで結果を残せるわけではありませんが、取り入れてからの結果はよくなりつつあるので、現在まで続けています。

~最後に~ マイプロテインを愛用されているトレーニーの方へ

まずはトレーニングを楽しんでください。そのためには得意種目を見つけ、とことん突き詰めてみることが大切です。僕の場合は、脚、スクワットでした。そして、それがあるからこそ、今ウエイトリフターとしての自分がいます。

得意種目は、自分で気付ければよいのですが、時に周りが気付かせてくれることもあります。僕も自分だけでなく、周りが気付かせてくれた部分がたくさんありました。突き詰めることで何かしら結果は出てくるはずです。皆さんも頑張ってください!

取材後記

分割法にこだわることなく、納得いかなければ、連日同じ部位を行う。トップアスリート山本選手ならではの「極み」を感じたインタビューでした。オーソドックスなトレーニング法を積み重ねたうえ辿り着いた、カリスマトレの一端を垣間見ることができました。

私たちが何かを学べるとすれば「連日行う」といった現象面ではなく、日々のトレーニングにおいて納得すべく「追い込めているか」の自問自答ではないでしょうか。惰性になっていないか、マンネリになっていないか。大いなる気付きです。

専門媒体ではなかなかお目にかかれない、山本選手の素顔に出会えた貴重な機会でした。対談内での「マッチョあるある」コーナーでは、体力測定時の爆笑エピソードも披露されています。ぜひご覧ください。

爆笑エピソード動画はこちらから

https://youtu.be/7gM-O9p5wf0

対談後のお疲れの中、快くインタビューに応じてくださった山本選手、ありがとうございました。 

 

山本 俊樹(ヤマモト トシキ)選手プロフィール

数々の日本記録に加え、全日本選手権三連覇を含む六度の制覇、2019年世界選手権5位の実績を誇るウエイトリフティング界のカリスマ。

300キロ超スクワットや他競技パワーリフティング(ジャパンクラシック選手権93kg級)での優勝など、その活躍ぶりからウエイトリフティング五輪での表彰台が期待されている。

競技階級:男子 96kg級 出身大学:日本体育大学

主な成績: 世界選手権大会 出場(2013年・2017年・2018年・2019年) アジア競技大会 出場(2018年) アジア選手権大会 第3位(2017年・2019年) 全日本選手権大会 優勝(2012年・2014年・2016年~2018年・2020年)

大会自己記録(85kg級) スナッチ158kg ジャーク206kg(日本記録) トータル361kg(日本記録)

大会自己記録(89kg級) スナッチ160kg ジャーク208kg(日本記録) トータル368kg(日本記録)

大会自己記録(94kg級) スナッチ165kg(日本記録) ジャーク203kg(日本記録) トータル367kg(日本記録)

大会自己記録(102kg級) スナッチ161kg(日本記録) ジャーク215kg(日本記録) トータル376kg(日本記録)

森 和哉
フィジカルデザイナー
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国立大学法人熊本大学大学院教授システム学修士。効果・効率・魅力的な教え方を実践できる専門家(Instructional Designer)として、特定非営利活動法人日本イーラーニングコンソシアム認定eラーニング・プロフェッショナル資格(ラーニングデザイナー、コンサルタント)を持つ。また全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定Personal Fitness Trainer(PFT)、Revolution Training System Specialist(RTS)資格を持つ。 30年以上にわたりフィットネスだけでなくニュートリションを含めたあらゆる分野のトレーニングプログラム開発に携わる。活動の原点には、教わる人たちは一人ひとり学習への理解度は異なるといったB・S・ブルーム(Bloom)の学習理論mastery learning(完全個別学習)がある。この理論をフィジカルトレーニングのパーソナライズ化へと再構築し、パーソナルトレーニングの必要性を啓蒙している。 現在は各種プログラム開発と共に、パーソナルトレーナー石原サンチェス陽一率いる『Team SANCHEZ』に所属しフィジカルデザイナーとしてトレーナー活動に従事。またその傍らマラソン、ボクシング、ボディメイク大会に出場。フルマラソン走破を皮切りに、おやじファイトボクシングフェザー級出場(1戦1勝1KO)、2017ベストボディジャパンゴールドクラス東京オープン5位入賞、2018東京大会ファイナリストとなる。自らの実践を通じてフィットネスの素晴らしさ、ニュートリションの必要性を発信している。 Facebook: https://www.facebook.com/kazuya.mori.543
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