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ウエイトリフター 山本俊樹選手(ALSOK)|我が“脚”で、頂へ【前編】

マイプロテインのサプリメントを愛用してやまない、ウエイトリフティング界のカリスマ山本俊樹選手。数々の日本記録を樹立し、全日本選手権三連覇を含む六度の制覇、2019年世界選手権5位の輝かしい実績と共に、東京五輪での表彰台を目指します。今回、マイプロテインでは山本選手に直撃インタビューを敢行! 300キロ超スクワット、他競技パワーリフティングでの優勝など“生ける伝説”から語られる「筋肉愛」は、筋肉大好きトレーニー必読の内容となっています。ALSOK公式YouTubeチャンネルのご視聴と併せて、お楽しみください。(本記事は現在、チャンネル内にて公開中の対談コメント抄録にインタビューを加え、再構成したものです)

ALSOK [MUSCLE MEETING 2021/筋肉対談] の動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=HP-V8QAstKI&t=270s

マッチョと言われ始めたあの日

小学校、中学校では陸上競技をやっていました。当時の体格から、今の身体を想像するのは難しいでしょうね。親が一番驚いています。あの頃はいたって普通の体格でした。

ウエイトリフティングを始めた高校生から身体は変わり始めました。卒業する頃には周りから「あいつ、やばいぞ」と言われるくらいのマッチョになっていましたね。遺伝的にも発達しやすかったのかもしれません。

自慢の筋肉は大腿四頭筋(太ももの前側)です。ウエイトリフターの中でも大きいほうではないでしょうか。

スクワットで作り上げた脚ですが、発達具合に左右差が出るのは競技特性から来るようです。ウエイトリフティングの種目のひとつ「クリーン&ジャーク」では、バーベル挙上時に、脚でバランスを取ります。このとき、僕は左脚を後ろに引いて身体を支えます。左脚に重さがかかるため、右脚に比べ若干発達したのだと思います。

トレーニングと休養

有酸素運動は行わず、もっぱら技術練習と筋トレのみです。

筋トレでは、部位別に分割で回すような形はとらず、メニューはその日に決めます。当日の感覚です。前日に行った脚トレで追い込めなかったと感じたら、その日も続けて脚をやります。

昔は分割法でやっていたのですが、どうしても追い込み切れない日が出ていました。なのに、その部位を行うのを来週まで待たねばならないというのが、自分の中ではしっくりこなかったんですね。ならば、連続して行うほうが効率的ではないかと思い、今のスタイルになりました。

【脚の強化】

バックスクワットは、2つのバリエーションで行っています。

ひとつは大腿四頭筋をねらった、膝を少し前に出すスクワット(膝関節主導)。 もうひとつはお尻を引いてヒップドライブを使うスクワット。これは臀筋(お尻)とハムストリングス(太もも裏側)をねらっています(股関節主導)。

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スクワットでは、力を入れるタイミング、抜くタイミングの「呼吸」を意識しています。以前、ぎっくり腰になったことがあり、一瞬で体幹を固める重要性を感じたからです。呼吸タイミングをうまく行えるようになってから、扱える重量は伸びました。

--スクワットではボトム時にどうしても腹圧が抜けやすくなります。そのあたりはどのように意識されていますか?

確かに抜けてしまいがちです。抜けた瞬間、息が漏れ、声が出てしまうからわかります。そのため、ボトムからの切り返しスピードを上げて回避するよう意識しています。切り返しの瞬間、ウッと強く、素早く、息を吐くことであらためて腹圧をかける人もいるでしょう。ボトムからの切り返し後、粘って立ってくるような時間のかかり方では腹圧維持は難しいと思います。

--バックスクワットでは、大腿四頭筋とハムストリングスに入れる2つのバリエーションで取り組まれているとお話されていました。バーの位置はハイ、ローと変えることはありますか?

ハイバーのみです。重さを扱うにはローバーがバイオメカニクス的に、理に適っているのはもちろん知っていますが、あまりこだわっていません。ローバーで行えば、今以上の重量を扱えるでしょう、と周りからは言われていますが(笑)

編集部注)ウエイトリフティングのクリーン&ジャークやスナッチのフォームでは、上半身をまっすぐに保つことが求められる。ローバーでは上半身が前傾になってしまう。

【背中の強化】

スクワット以外では、レッグプレスやエクステンション、ラットプルなどのマシンも利用しますし、競技動作を分解しデッドリフト、ハイプルなども行っています。

デッドリフトやハイプルで背中を強化しています。ウエイトリフティングでは、バーベルを背中に乗せるイメージが必要になってきます。背中で引き切るイメージですね。広背筋だけでなく重さによって身体が左右にぶれぬよう、脊柱起立筋も鍛えねばなりません。バーベルを真上に引き上げることが大切なのです。

【胸の強化】

--スクワット、デッドリフトに関する山本選手の記事を目にすることは多いのですが、ベンチプレスへの取り組みはいかがですか?

ベンチプレスは、ウエイトリフティングにおいてパフォーマンス低下を招くと言われています。競技では、肩の前までバーベルを引き上げ、いったん肩をロック(固定)しバーベルを安定させます。そこからバーベルを挙上する動作に移りますが、その際、胸筋のテンション(収縮)が強いとストレッチが効きにくくなり、スムーズな挙上動作の妨げになると言われているのです。

とはいえ、身体の背面ばかりを鍛えているため、拮抗する部位の強化も必要かなと思い、ベンチプレスでの大胸筋強化に取り組み始めました。身体の前後バランスを保つためです。当然その分、背面のトレーニングボリュームも上げつつあります。

 

前編では主にトレーニングについて、お話をうかがいしました。小中学生時代に今の身体はたしかに想像つきませんね。 また、当然のことながら一つひとつのトレーニングが、すべてウエイトリフティングという競技につながっているということを、あらためて感じさせられました。 後編は皆さんの関心が高い、食事やサプリメントについてのお話になります。ぜひお読みください。 

公開中の動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=T6s7VEpeN2w

 

森 和哉
森 和哉 フィジカルデザイナー
国立大学法人熊本大学大学院教授システム学修士。効果・効率・魅力的な教え方を実践できる専門家(Instructional Designer)として、特定非営利活動法人日本イーラーニングコンソシアム認定eラーニング・プロフェッショナル資格(ラーニングデザイナー、コンサルタント)を持つ。また全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定Personal Fitness Trainer(PFT)、Revolution Training System Specialist(RTS)資格を持つ。 30年以上にわたりフィットネスだけでなくニュートリションを含めたあらゆる分野のトレーニングプログラム開発に携わる。活動の原点には、教わる人たちは一人ひとり学習への理解度は異なるといったB・S・ブルーム(Bloom)の学習理論mastery learning(完全個別学習)がある。この理論をフィジカルトレーニングのパーソナライズ化へと再構築し、パーソナルトレーニングの必要性を啓蒙している。 現在は各種プログラム開発と共に、パーソナルトレーナー石原サンチェス陽一率いる『Team SANCHEZ』に所属しフィジカルデザイナーとしてトレーナー活動に従事。またその傍らマラソン、ボクシング、ボディメイク大会に出場。フルマラソン走破を皮切りに、おやじファイトボクシングフェザー級出場(1戦1勝1KO)、2017ベストボディジャパンゴールドクラス東京オープン5位入賞、2018東京大会ファイナリストとなる。自らの実践を通じてフィットネスの素晴らしさ、ニュートリションの必要性を発信している。 Facebook: https://www.facebook.com/kazuya.mori.543

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