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サプリメント

ソイプロテインとホエイプロテインの違いとは?|知っておきたいその使い分け方 

ソイプロテインとホエイプロテインの違いとは?|知っておきたいその使い分け方 
大田 崇央
作成者3年 前
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「プロテインにはソイプロテインとホエイプロテインって言うのがあって・・・違いは何だろう?」と思った方は多いのではないでしょうか?どちらもプロテインとしてカラダ作りには欠かせない栄養素です。2つの違いについて「聞いたことはあるけど、明確な違いは分からない」、そんな方へお送りする記事となっています。

この記事で分かること: 1. ソイプロテインとホエイプロテインの違い1-1. 原材料の違い1-2. 消化速度の違い1-3. アミノ酸スコアの違い1-4. ソイプロテインだけに含まれる大豆イソフラボン1-5. BCAAが豊富なホエイプロテイン1-6. ソイプロテインとホエイプロテインのデメリットの違い2. ソイプロテインとホエイプロテインを使い分けるポイント2-1. 起床直後2-2. 食間2-3. トレーニング後2-4. 就寝前3. ソイプロテインはこんな人におすすめ3-1. 引き締めたいときまとめ

1. ソイプロテインとホエイプロテインの違い

まず始めに、ソイプロテインホエイプロテインの本質的な違いを「原材料」「吸収速度」、「アミノ酸スコア」の観点から比較していきます。

1-1. 原材料の違い

ソイプロテインは大豆を原料として生成される植物性タンパク質です。大豆の成分組成は脂質20%、タンパク質35%、炭水化物、水分などが45%であり1、タンパク質が多いという特徴があります。ドイツでは大豆のことを「畑の肉」と称されるほど、栄養価が優れていることが伺えます。

一方でホエイプロテインは生乳を原料として生成される動物性タンパク質のひとつです。ホエイとはヨーグルトの上澄みに浮いている液体「乳清」のことで、豊富なタンパク質の他ビタミンやミネラルを含んでいます。

生乳中に含まれるプロテインにはカゼインプロテインもありますが、ヨーグルトでいう固体の部分です。生乳が含むタンパク質のうち約80%がカゼインです2

1-2. 消化速度の違い

ソイプロテインとホエイプロテインの決定的な違いは由来である「植物性」か「動物性」かの違いです。しかし、消化吸収速度については大きな差はありません。一般的にソイプロテインはカゼインよりもホエイプロテインに近い吸収消化速度を持つと言われています3。ほとんど消化吸収速度に差がありませんが、ラットを用いた実験で、運動後のカラダづくりの速度はホエイプロテインの方がソイプロテインに比べ、先にピークを迎えることが明らかとなっています4

1-3. アミノ酸スコアの違い

プロテインは20種類のアミノ酸から構成されており、9種類の必須アミノ酸(Essential Amino Acid; EAA もしくは Indispensable Amino Acid; IAA、不可欠アミノ酸)と11種の非必須アミノ酸(Non-Essential Amino Acid; NEAA)の2つに大別できます。アミノ酸スコアはタンパク質の質を表すスコアとして幅広く用いられており、通常最も少ない必須アミノ酸に制限されることから9種類のアミノ酸のバランスが不足なく揃っていることが重要とされています。国際連合食糧農業機関(FAO)が定めるアミノ酸スコアによるとソイプロテイン、ホエイプロテイン共に75以上であるといわれています5。つまり、アミノ酸スコアでソイプロテインとホエイプロテインでは差はなく、いずれも高品質のプロテインであると言えます。

1-4. ソイプロテインだけに含まれる大豆イソフラボン

ソイプロテインにはホエイプロテインと違って「大豆イソフラボン」が含まれます。イソフラボンは化学的構造が女性にとって大切なエストロゲンに似ています6。一方で、ホエイプロテインにはイソフラボンが含まれていません。イソフラボンが含まれるかどうかは、ソイプロテインとホエイプロテインの大きな違いと言えます。

1-5. BCAAが豊富なホエイプロテイン

BCAAは分岐鎖アミノ酸といい、バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類のアミノ酸の総称です。BCAAはEAAの一部でソイプロテイン、ホエイプロテイン共に含まれています。しかし、含有量で比較するとソイプロテインはホエイプロテインには及びません7。ホエイプロテインの特徴としては、運動と併せた際のカラダづくりのスピードを促進するBCAAが多く含まれていることが挙げられます8

1-6. ソイプロテインとホエイプロテインのデメリットの違い

ソイプロテインのデメリットと言えば、独特の風味です。ソイプロテインの製造過程で生じてしまうもので、初めての方には大変辛く感じる可能性があります。好みのフレーバーを選択するなどの工夫が必要になるかもしれません。 一方でホエイプロテインは、乳糖が含まれる物があります。牛乳を飲んでお腹がゴロゴロするように乳糖を消化する能力を持たない人は、ホエイプロテインを飲んでもお腹に不快感を感じることがあります。乳糖ができる限り除去されたホエイプロテインを選ぶことが肝要です。

乳糖不耐症については、こちらの記事「プロテインでお腹がゴロゴロ?乳糖不耐症のチェック方法とおすすめプロテイン紹介」で詳しく解説しています。

2. ソイプロテインとホエイプロテインを使い分けるポイント

これまで紹介したソイプロテインとホエイプロテインの違いを元に、それぞれ使い分けるポイントをご紹介します。

2-1. 起床直後

起床直後はプロテイン補給に適したタイミングです9。最後の食事(夕食)から時間が経っていることもありタンパク質の補給が必要とされます。そんな起床直後に飲みたいプロテインはホエイプロテインまたはソイプロテインです。吸収の早さを活かせることがポイントとなります。

2-2. 食間

食間(=おやつ)として取り入れるならソイプロテインがおススメです。吸収速度も速いうえ、腹持ちもいいのでおやつとして摂取するにはおすすめのプロテインです。

2-3. トレーニング前後

トレーニングの後で飲むべきおすすめプロテインと言えばホエイプロテインです10。吸収速度はもとより、カラダづくりの速度もソイプロテインやカゼインプロテインよりも高いといった点がポイントとなります。

2-4.就寝前

就寝前に飲むプロテインはホエイプロテイン、ソイプロテイン共におすすめです。就寝から起床後の食事まで体内では筋タンパク質合成が生じない環境となります。就寝中の筋タンパク質合成速度を高めるために、就寝前のプロテイン摂取は理に適った戦略と言えます11。吸収の遅さから観ればカゼインプロテインも優れているプロテインと言えます12

3. ソイプロテインはこんな人におすすめ

ソイプロテインはホエイプロテインと並んで、運動と併せることでカラダの成長を促進することが出来るプロテインです13。そこでソイプロテインを買うかどうか迷っている人にさらに嬉しい情報を紹介致します。

3-1. 引き締めたいとき

12週間のカロリー制限期間におけるソイプロテインとホエイプロテインを摂取が体重の変化に与える影響を調べた研究によると、平均して約8%の減少が認められています。食事制限(低カロリー食)におけるタンパク質不足は、ソイプロテインでも他のプロテインと同等に補えることが明らかとなったことから、ソイプロテインは運動しながら引き締めたい時にも適したプロテインであることを示唆しています14

また、こちらの記事「大豆のタンパク質、「ソイプロテイン」を徹底解説」でもソイプロテインについてより詳しく解説していますので、気になる方はぜひ購入前に読んでみてください。

まとめ

ソイプロテインとホエイプロテインはともに、普段の食事からに加えて、タンパク質を簡単に補給することを助けてくれます。これまで紹介した特徴をまとめると以下のようになります。

ソイプロテインは「畑の肉」大豆を原料とした植物性タンパク質であり、エストロゲンに構造の似たイソフラボンが成分に含まれています。 一方、ホエイプロテインは生乳を原料とした動物性タンパク質であり、カラダづくりを促進してくれるBCAAがソイプロテインよりも多く含まれていることが特徴です。

消化吸収速度、アミノ酸スコアについては両者ともほぼ遜色ない差であるとされます。以上を踏まえ、目的に沿ったプロテインの選択をすることが重要と言えます。

本記事が健康づくり、カラダ作りの一助となれば幸いです。

本記事は情報提供および知識向上を意図としたものであり、専門的な医療アドバイスを目的としたものではありません。ご自身の健康に何か懸念がある場合は、健康食品を摂取する前もしくは食習慣を変更する前に、専門医やかかりつけの医療機関にご相談ください。

1.  YAMAMOTO S, YOSHITOMI K. On the Production and Utilization of Soybean Protein Products. J Japan Oil Chem Soc. 1970;19(8):826-834. doi:10.5650/jos1956.19.826

2.  Gellrich K, Meyer HHD, Wiedemann S. Composition of major proteins in cow milk differing in mean protein concentration during the first 155 days of lactation and the influence of season as well as shortterm restricted feeding in early and mid-lactation. Czech J Anim Sci. 2014;59(3):97-106. doi:10.17221/7289-cjas

3.  Bos C, Metges CC, Gaudichon C, et al. Postprandial kinetics of dietary amino acids are the main determinant of their metabolism after soy or milk protein ingestion in humans. J Nutr. 2003;133(5):1308-1315. doi:10.1093/jn/133.5.1308

4.  Kanda A, Nakayama K, Sanbongi C, Nagata M, Ikegami S, Itoh H. Effects of whey, caseinate, or milk protein ingestion on muscle protein synthesis after exercise. Nutrients. 2016;8(6). doi:10.3390/nu8060339

5.  Herreman L, Nommensen P, Pennings B, Laus MC. Comprehensive overview of the quality of plant- And animal-sourced proteins based on the digestible indispensable amino acid score. Food Sci Nutr. 2020;8(10):5379-5391. doi:10.1002/fsn3.1809

6.  Oseni T, Patel R, Pyle J, Jordan VC. Selective estrogen receptor modulators and phytoestrogens. Planta Med. 2008;74(13):1656-1665. doi:10.1055/s-0028-1088304

7.  Devries MC, Phillips SM. Supplemental protein in support of muscle mass and health: Advantage whey. J Food Sci. 2015;80(S1):A8-A15. doi:10.1111/1750-3841.12802

8.  Tang JE, Moore DR, Kujbida GW, Tarnopolsky M a, Phillips SM. Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men. J Appl Physiol. 2009;107(3):987-992. doi:10.1152/japplphysiol.00076.2009

9.  Melson CE, Nepocatych S, Madzima TA. The effects of whey and soy liquid breakfast on appetite response, energy metabolism, and subsequent energy intake. Nutrition. 2019 May;61:179-186. doi: 10.1016/j.nut.2018.11.007. Epub 2018 Nov 27. PMID: 30822749.

10.  Stokes T, Hector AJ, Morton RW, McGlory C, Phillips SM. Recent perspectives regarding the role of dietary protein for the promotion of muscle hypertrophy with resistance exercise training. Nutrients. 2018;10(2). doi:10.3390/nu10020180

11. Trommelen J, van Loon LJC. Pre-sleep protein ingestion to improve the skeletal muscle adaptive response to exercise training. Nutrients. 2016;8(12). doi:10.3390/nu8120763

12. Kouw IWK, Holwerda AM, Trommelen J, et al. Protein ingestion before sleep increases overnight muscle protein synthesis rates in healthy older men: A randomized controlled trial. J Nutr. 2017;147(12):2252-2261. doi:10.3945/jn.117.254532

13.  Churchward-Venne TA, Pinckaers PJM, Smeets JSJ, et al. Myofibrillar and Mitochondrial Protein Synthesis Rates Do Not Differ in Young Men Following the Ingestion of Carbohydrate with Milk Protein, Whey, or Micellar Casein after Concurrent Resistance- and Endurance-Type Exercise. J Nutr. 2019;149(2):198-209. doi:10.1093/jn/nxy244

14.  Beavers KM, Gordon MM, Easter L, et al. Effect of protein source during weight loss on body composition, cardiometabolic risk and physical performance in abdominally obese, older adults: A pilot feeding study. J Nutr Heal Aging. 2015;19(1):87-95. doi:10.1007/s12603-015-0438-7

大田 崇央
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東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士号(学術)。博士課程在学中に公益財団法人横浜市体育協会横浜市スポーツ医科学センターに勤務し、在浜トップチームのメディカルチェックおよびフィジカルテストのスタッフとして従事。2020年より日本体育大学体育学部助教。その他、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定Personal Fitness Trainer(PFT)、中学校・高等学校教諭1種免許(保健体育)などの資格を持つ。 幼少期より、ピアノとバスケットボールに勤しんでおり、合唱コンクールの伴奏を務めた経験を持つほか、バスケットボールにおいて中学・高校・大学と全国大会に出場している。現在は、大学に勤務する傍らバスケットボール選手として活動するほか、バスケットボールスクールに於いてストレングスコーチとしても活躍している。趣味は城巡り。日本100名城、続日本100名城にも載っていない城を足軽気分で攻め落とすことに執念を燃やしている。 活動の理念は「身体活動の啓蒙、そして健康寿命の延伸」。がんサバイバーシップガイドラインの策定に関わった経験から、身体活動の可能性を更に多くの人に発信、人々を動かすことをモットーにしている。
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