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プロテインを飲むとおならが臭くなるってほんと?|腸内細菌の変化と整える方法を解説

プロテインを飲むとおならが臭くなるってほんと?|腸内細菌の変化と整える方法を解説
大田 崇央
作成者3年 前
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これからプロテインの購入を考えているそこのあなた。一般的に種類が多く、手に入りやすいプロテインはホエイプロテインが多いのですが、「ホエイプロテインを飲むとおならが臭くなる」「おならが増える」「体臭がきつくなる?」そう言う噂を見聞きした経験があるのではないでしょうか。

この記事では、プロテインを飲むとおならが臭くなるのか?また、ホエイプロテインはなぜ体臭との関連があるのか?そして、その対策方法はあるのか?について詳しく解説してきます。

この記事で分かること:

1.プロテインを飲むとおならが臭くなるのか?おならとの関係は?2.プロテインを飲んでおならが臭くなる原因2-1.プロテインでおならが臭くなる原因は腸内細菌の変化腸内環境の悪化2-1-1.腸内は細菌のお花畑【腸内フローラってなに?】2-2.内側の環境を整える方法腸内フローラ(腸内環境)を整える方法2-3.腸内環境は臭いだけじゃない!排便量もチェックが必要3.ホエイプロテインを飲みながら臭い体臭を管理するためには4.まとめ

1.プロテインを飲むとおならが臭くなるのか?

プロテインを飲んで臭いがきつくなることは実際にあるのでしょうか。

実はこの件に関して是とも非とも結論がつけづらいといわれています。

ホエイプロテインとおならの臭いの関係性について明確なエビデンスがあるわけではありません。しかしながら、多くの人が「焼き肉」や「ホエイプロテイン」摂取後におならの臭さを経験したことがあるのではないでしょうか。次項では実際に、おならの臭いとホエイプロテインに関するメカニズムについて言及していきます。

2.プロテインを飲んでおならが臭くなる原因

プロテインを飲んでおならが臭いと感じてしまう原因は、その性質によるものです。プロテインの中でも、ホエイプロテインは焼き肉などと同類である「動物性タンパク質」です。経口摂取した場合、胃で分解されペプチド、またはアミノ酸として腸内から吸収されます。動物性タンパク質自体に強い臭いを出す性質はないのですが、おならが臭くなる原因のひとつが「消化不良」といわれています。摂取したプロテインが全て体内に吸収されるわけではなく、何らかの要因で吸収されずに残留したタンパク質が強い臭いを放つ原因となっている可能性が高いと言えます。

2-1.プロテインでおならが臭くなる原因は腸内細菌の変化

動物性タンパク質(ホエイプロテイン含む)は前述の通り、胃に取り込まれると胃酸によりタンパク質の形状を破壊し、腸へ運ばれるまでに膵液などの作用を受けながらアミノ酸やペプチド(アミノ酸が連なったもの)まで分解されてから吸収されます。そこで消化不良とならないようにするためには、環境を良好に保つ必要があります。環境を左右構成している正体は「菌」です。腸内環境が整っている状態では「善玉菌」が多く活躍しており、反対に環境が乱れている状態は「悪玉菌」が優位に活動しているといわれています。つまり、「善玉菌」が多く活躍する環境を補給してあげることが、「腸内環境」を正常に保つことである言い換えることが出来るのです。それでは、どのようにしたら良い環境を整えることが可能なのでしょうか?

腸内は細菌のお花畑【腸内フローラってなに?】

腸内は1000種100兆個の腸内菌が存在すると言われており、その様子は「お花畑(フローラ)」のようであったことから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。腸内フローラは常に一定ではなく、上述した「善玉菌」と「悪玉菌」が常に陣取り合戦をしている状態である、と言われています。陣取り合戦が勃発する要因となるのが口を通って流れ込んでくる「食事」なのです。「食事の内容」を考えることで腸内フローラを正常に保つことが可能となり得ると言えます。

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2-2.内側の環境を整える方法

腸内フローラを正常に保つためには食事の内容を考慮する必要があります。「善玉菌」、「悪玉菌」にはそれぞれ好みの栄養素があります。 まず「悪玉菌」は動物性タンパク質・脂質を好みます。脂質やタンパク質は腸内に入った後、悪玉菌の働きで腐敗が進みます。そこで生成されるアンモニアやアミン、硫化水素などが腸内で発生し、臭いおならの原因となります。一方でタンパク質をアミノ酸発酵する細菌も発見されています。アミノ酸発酵自体は決して人体に有害なものではありませんが、その代謝産物は内側の環境に影響を与える可能性が示唆されています1

反対に、ビフィズス菌や乳酸菌に代表される「善玉菌」は炭水化物、発酵食品、食物繊維(炭水化物)を好みます2。O’Keefe博士らが高脂肪・低食物繊維食のアフリカ系アメリカ人と低脂肪・高食物繊維食の南アフリカ農村部アフリカ人の大腸内視鏡検査や微生物マーカーの検査が行われました3。まず着目すべき点が動物性たんぱく質と脂質の量がアフリカ系アメリカ人で2-3倍と多い一方で、南アフリカ農村部アフリカ人は難消化性澱粉の摂取量が高いという点です。さらに、アフリカ農村部アフリカ人には細菌による食物繊維発酵の指標である酪酸生成が多いことが確認されました。驚くべきことに、この2集団の食事内容を反転させると、検査結果も反転した結果となりました。日々の食生活の影響が内側の環境に反映されている可能性は否定できないと言えます。

このように、環境を正常に保つためには「善玉菌」「悪玉菌」それぞれが好む食品を認識した上で、摂取量・頻度を検討することが必要であると考えられます。

2-3.臭いだけじゃない!量もチェックが必要

動物性タンパク質(ホエイプロテイン)の摂取は内のバランスが悪くなることになりますが、その一方で、食物繊維の摂取によって環境のバランスを良好にすることも可能です。その他に強烈な臭いを発する原因として、便秘や下痢も多く見られると言われています1。特にトップアスリートなどの環境は非常にセンシティブで競技の成績に直結すると言われています。カラダづくりをサポートする上で重要なホエイプロテインですが、同時に善玉菌が好む食物繊維などを意識的に摂取する必要があるのかもしれません。20歳-21歳女性9人を対象とした実験で、食物繊維の摂取量は量と比例すると言われているので、臭い対策にも十分結果を発揮してくれるものであると考えられます4

3.ホエイプロテインを飲みながら体臭を管理するためには

これまでの話を要約すると以下のようになります。

◇体臭に変化を起こす要因として考えられるもの
  1. 動物性タンパク質の摂取量増
  2. 動物性脂質の摂取量増
  3. 食物繊維摂取量減

おならの臭いが臭くなったと感じる多くの人が上記の1,2に該当するのではないでしょうか。ホエイプロテインは牛の乳を原料とすることから動物性タンパク質の一種です。過剰なホエイプロテインの摂取はいつもと異なる体臭を引き起こす可能性が否定できないのです。

これらの事柄を踏まえて、体臭に変化を感じたらお勧めすることを列挙すると以下の通りになります。

○ホエイプロテインの摂取量を調整する

→ホエイプロテインはタンパク質の推奨摂取量に準拠し、不足分を補うという目的で摂取することが肝要です。

○ホエイプロテインからソイプロテインへ

→ホエイプロテインは吸収の速さが特徴ですが、おならの臭いの原因になる可能性もあります。ホエイプロテインの摂取量の調整が難しい場合は、植物性でも高いアミノ酸スコアを誇るソイプロテインに変えるのはいかがでしょうか。リニューアルされたマイプロテインのソイ プロテイン アイソレートは、とてもなめらかで飲みやすくなりました。ソイプロテインを検討されるかたはぜひ試してみてください。

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○食物繊維をサプリメントから補給する

→日本人の食事摂取基準に該当する食物繊維を食事から賄うことは、不可能ではありませんが必ずしも簡単ではありません。特に体重管理をしている場合などは野菜穀物に含まれる糖質量も調整の対象となり、野菜穀物の摂取量が減りがちです。それらを踏まえると、サプリメントとして食物繊維を補給することを検討する必要があります。

4.まとめ

プロテインの中でも一番人気のホエイプロテインは筋肉が喜ぶサプリメントの1つです。しかしその原料は動物性タンパク質である牛の乳であると考えた場合、飲めば飲むほどいいものではないという思慮に至ります。おならの増加や、おならの臭いが臭くなったなど変化を感じた場合は、本稿で紹介したような対策を早めに打つことが賢明かもしれません。目指す体を作る上で効果的なホエイプロテインですが、摂取量を工夫したり、ソイプロテインやビーガンプロテインに変更するなど、自分のカラダと相談しながらうまく付き合っていくことが重要です。

本記事は情報提供および知識向上を意図としたものであり、専門的な医療アドバイスを目的としたものではありません。ご自身の健康に何か懸念がある場合は、健康食品を摂取する前もしくは食習慣を変更する前に、専門医やかかりつけの医療機関にご相談ください。

1. Kårlund A, Gómez-Gallego C, Turpeinen AM, Palo-Oja OM, El-Nezami H, Kolehmainen M. Protein supplements and their relation with nutrition, microbiota composition and health: Is more protein always better for sportspeople? Nutrients. 2019;11(4):1-19. doi:10.3390/nu11040829

2. Macfarlane GT, Steed H, Macfarlane S. Bacterial metabolism and health-related effects of galacto-oligosaccharides and other prebiotics. J Appl Microbiol. 2008;104(2):305-344. doi:10.1111/j.1365-2672.2007.03520.x

3. O’Keefe SJD, Li J V., Lahti L, et al. Fat, fibre and cancer risk in African Americans and rural Africans. Nat Commun. 2015;6. doi:10.1038/ncomms7342

4. 石井智香子, 東玲子. 食物繊維が排便におよぼす影響. J Jpn Acad Nurs Sci. 1992;12(1):16-22.

大田 崇央
作成者
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東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士号(学術)。博士課程在学中に公益財団法人横浜市体育協会横浜市スポーツ医科学センターに勤務し、在浜トップチームのメディカルチェックおよびフィジカルテストのスタッフとして従事。2020年より日本体育大学体育学部助教。その他、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定Personal Fitness Trainer(PFT)、中学校・高等学校教諭1種免許(保健体育)などの資格を持つ。 幼少期より、ピアノとバスケットボールに勤しんでおり、合唱コンクールの伴奏を務めた経験を持つほか、バスケットボールにおいて中学・高校・大学と全国大会に出場している。現在は、大学に勤務する傍らバスケットボール選手として活動するほか、バスケットボールスクールに於いてストレングスコーチとしても活躍している。趣味は城巡り。日本100名城、続日本100名城にも載っていない城を足軽気分で攻め落とすことに執念を燃やしている。 活動の理念は「身体活動の啓蒙、そして健康寿命の延伸」。がんサバイバーシップガイドラインの策定に関わった経験から、身体活動の可能性を更に多くの人に発信、人々を動かすことをモットーにしている。
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