筋肉がつきにくい体質の方向けのバルクアップ食事メニュー
ハードゲイナーという言葉を聞いた事がありますか?ハードゲイナーとは体が細く、筋トレしても筋肉がつきにくい体質の人のことです。食べてもあまり太らないので、まるで夢の様な体質と思われがちですが、実の所ハードゲイナーでいることは辛いのです。トレーニングを重ねても重ねても筋肉が思うようにつかなくて、求めている結果が見れないのを想像してみてください。
ハードゲイナーが理想の体を得るのに必要な努力と知識の量は尋常ではありません。この記事では、初心者でもできるハードゲイナー用のバルクアップ方法を、食事法から必須カロリーの計算法まで、紹介します。
1日に必要なカロリー摂取量
ハードゲイナーのバルクアップには食事が重要となります。バルクアップのスタート地点として、1日に体重1キロあたり49カロリーの摂取を目標とすることが好ましいでしょう。たとえば、70キロの人の場合、1日あたり3,430カロリーの消費が目標です。
「一般成人の1日の摂取カロリーは2,000カロリー」などと耳にしたことがあるかもしれませんが、それは誤解を招くかもしれません。1日に摂取しなければいけないカロリー量は十人十色で、その人の体質や目的により変わります。
もちろん人それぞれ代謝が異なってきますので、体重70キロだからといっても1日あたり3,430カロリーとはただのスタート地点となる目安です。試行錯誤を繰り返し、自身の体の反応に応じて1日のカロリー摂取量を増減をする必要があります。
3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の摂取量
1日の総摂取カロリーは計算できましたね。それでは、この3,430カロリーを摂取するのに、炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素をどのように分担したら良いのでしょう?
「筋肉はタンパク質で作られているから、90%をステーキや生卵で摂取する」とお考えかもしれませんが、3大栄養素の比率は以下のようになります。
- タンパク質~25%
- 炭水化物 ~40%
- 脂質~35%
先程お伝えした通り、こちらの数値はただのスタート地点となる目安です。自身の体に合うように調節、試行錯誤をすることが必要です。
1日の総摂取カロリーの20%以上がタンパク質になるようにしてください。 約2週間このような食事をし、それでも体重が増加しない場合は1日あたり約200カロリー増やし、様子をみて下さい。このような微調整がバルクアップ用食事のキーポイントです。
ハードゲイナーの食事の摂取量とタイミング
ご覧のようにバルクアップには大量のカロリーが必要となります。ならば、なぜ高カロリーなファーストフードでお腹を満たしてはいけないのでしょうか?
確かにファーストフードなど、好きな食べ物を好きなタイミングで食べれば、大量のカロリーが摂取でき、増量につながるかもしれません。ですが、急速にかつ過剰に増量することは身体に有害な影響を及ぼす可能性があり、さまざまな健康上のリスクをいくつか伴います。さらに、急速すぎる増量は脂肪の蓄積を加速させ、インスリン感受性に変化を及ぼし、タンパク質筋肉合成の妨げにもなります。結果として、より筋肉が成長しづらくなるのです。
「食べるのが幸せ」という人もいますが、逆に苦労して食事をする人もいます。簡単にお腹がいっぱいになってしまう人は、低カロリーで高繊維質の食品を食べるよりも高カロリー食品を食べる必要があります。もちろん果物や野菜も我々の健康と快適な暮らしに不可欠なものです。ですが、バルクアップのために果物や野菜でお腹いっぱいになるのではなく、お肉や炭水化物など高カロリーな食品でお腹を満たしましょう。何を食べるかに関しても、微調整と試行錯誤が必要となってきます。
少食な人が1食で食べれる量が限られているため、1日あたり3,430カロリーのように大量のカロリーを摂取するのは一苦労です。そこでよくハードゲイナーが行っているのは、1日3食ではなく、6~8食など、食べる回数を増やすことです。以下の表がとあるハードゲイナーの方の1日の食事とタイミングです。
時間/食事数 | マクロ栄養素の比率 | 食事例 |
07:00/食事1 | 663カロリー 炭水化物 55g タンパク質 63g 脂質 24g |
インスタント・オーツ 75g マイプロテイン ホェイプロテイン 1スクープ 全卵4個+卵白2個分 |
9:30/食事2 | 402カロリー 炭水化物 28.5g タンパク質 57g 脂質 16.2g |
マイプロテインハードゲイナー 1スクープ (成分無調整牛乳と水150mlと共に) |
12:30/食事3 | 719カロリー 炭水化物 53g タンパク質48g 脂質 35g |
焼いたサツマイモ 中サイズ サワークリーム 小さじ2杯 焼きサーモンフィレ(ベークド) 1枚 ほうれん草 ゴマ 小さじ2杯 成分無調整牛乳 300ml (飲み物として) |
15:30/食事4 | 432カロリー 炭水化物 46.5g タンパク質 37.5g 脂質 10.7g |
ギリシャヨーグルト 125g マイプロテイン インパクトホェイプロテイン 1スクープ バナナ 1本 アーモンド 8粒 |
18:30/食事5 | 724カロリー 炭水化物 109g タンパク質 45g 脂質 10g |
[メキシカンスパイス] 鶏むね肉 1枚(118g) 調理済み玉ねぎ 1/2個 調理済み赤パプリカ 1/2個 調理済み玄米 200g サルサ 小さじ4杯 サワークリーム 小さじ2杯 ミックスビーンズ 1/2缶 |
トレーニング | ||
21:30/食事6 | 324カロリー 炭水化物 128g タンパク質 34g 脂質 14.5g |
マイプロテイン ナチュラルピーナツバター 小さじ1杯 マイプロテイン カゼインプロテイン 1スクープ (成分無調整牛乳200mLあるいはギリシャヨーグルト125gに混ぜたもの) |
ハードゲイナーのバルクアップに不可欠な食品とは何か?
上記はバルクアップに必要な食事とタイミングの参考として頂きたい一つの例です。あなたは夕方でなく朝にトレーニングをするかもしれません。食べる時間も異なるかもしれません。大切なのはさまざまな栄養素の摂取することと食事を6回以上に分け1日に必要なカロリーをしっかり確保することです。
必須カロリー摂取目標を達成するには、「MyFitnessPal」などのアプリを使ってカロリー摂取量の記録を付け、管理し、1日の食事を計画しましょう。1日の食事を計画し、準備することがバルクアップ成功への第一歩です。食事を前夜、さらには数日前に準備する際、下記のハードゲイナーにとって不可欠の食材をきちんと摂取できるよう覚えていて下さい。
プロテイン
プロテインは必需品です!プロテインは用意や摂取するのに時間がかからず、1日に必要なタンパク質から炭水化物まで摂取できる、ハードゲイナーとしては夢のようなドリンクです。ですが、プロテインなら何でもいいわけではありません。例えばマイプロテインのウェイトゲイナーブレンドでしたら、1食あたりなんと784カロリー、炭水化物120g、タンパク質47gが摂取できます。なので、時間が無い時やお腹があまり空いてない時などのスナックや食事の代わりとして理想的なのです。
プロテインを自分で調合する場合、しっかりと炭水化物、タンパク質と脂質を加えることを忘れないでください。良質なタンパク質はマイプロテインのTHE WHEYやトータルプロテインなどのプロテインブレンドから、良質な炭水化物はマルトデキストリンから、脂質をピーナッツバターなどから、バランスよく摂取しましょう。
脂身が少ない赤身肉
バルクアップにはタンパク質が必要であることはご存知かと思います。最良な脂質/鉄分と共に目標のカロリー量を摂取するには脂肪の少ない赤味肉がおすすめです。
ナッツ類
ナッツ類は高エネルギーな食品です。つまり、カロリーの宝庫です。100gあたり600~700カロリーで、健康に良い「一価不飽和脂肪酸」および「多価不飽和脂肪酸」も豊富に含まれています。この2つの脂肪酸はハードゲイナーに必須です。ですので、(アレルギーでなければ)ナッツ類をスナックとして食べ、カロリー摂取量を増やしましょう。
オーツ
オーツはカロリー、炭水化物、脂質の優れた供給源です。苦しくなるほど満腹にならず、しっかりと目標カロリー摂取量に近づけます。オーツは、エネルギー源としても優れているんで、牛乳とプロテインパウダーと一緒に朝食として、またはトレーニング後の栄養補給のプロテインシェイクとしても役立つ理想的な食品です。
卵
1個あたり80カロリーの卵はタンパク質と脂質の優れた供給源です。コレステロールや飽和脂肪が気になるかもしれませんが、1日15個以上食べない限り心配不要です。オムレツ、ゆで卵、スクランブルエッグなど自由自在な卵をお好みの形で楽しく美味しく食べましょう。
サーモン
イギリス政府が週1回以上の摂取を推奨しているほど、サーモンなど赤身の多脂魚(イワシなど)は最高な食材です。ハードゲイナーの方でしたら、サーモンを週3~4回摂取してみてください。サーモンはオメガ3などの必須脂肪酸やバルクアップに必要なタンパク質を多く含んでいます。
オリーブオイル
カラダを大きくするには健康的な脂肪が必要です。オリーブオイルは健康にも良い理想的な脂質の供給源です。サラダや料理に簡単に加えることができます。
さつまいも
さつまいもは、体内のグリコーゲンを回復させてくれる炭水化物を多く含み、トレーニング後などにピッタリです。また、サツマイモは、通常のジャガイモよりも体内でのインシュリン反応が低いと考えられています。
ドライフルーツ
ドライフルーツは生の果実とは異なり、高エネルギー密度な食品なのです。ドライフルーツからはビタミンや食物繊維だけでなく、エネルギーレベルを高める砂糖を摂取できるので、トレーニング前などに理想的なスナックです。生の果実に多く含まれる水分が抜けているので、食べても満腹になりにくいのもドライフルーツの素晴らしい点です。
まとめ
一人ひとりの体は異なります。同じ食事やトレーニングが同じ効果をもたらすとは限りません。ですので、自分に最適な方法を見つけることが大切です。
この記事はバルクアップのスタートするためのガイドであり、自身の進歩、筋量増加、体重増加などを記録し始めたら、自身の体に合わせ試行錯誤をしてみてください。
最適なものに辿り着くまでが大変かもしれませんが、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」です。「ハードゲイナー」でも筋肉がつかない訳ではありません。つきにくいだけです。一番効果的な方法を武器に頑張りましょう!
ダヴィド・リスチェク(Dawid Lyszczek)は新商品開発のエキスパートで、食品技術者、栄養士、パーソナルトレーナーでもあります。人間栄養学の学士号、フードイノベーションの修士号、パーソナルトレーナーレベル3認定を保有しています。プロアマを問わず、エビデンスに基づいた栄養学とトレーニングを専門としており、スポーツ栄養学とウェイトトレーニングに15年以上携わってきました。ダヴィド自身、以前はボディビルダーとして活躍しており、2013年UKBFFの90Kg超級ファイナリストでもあります。その様子は、Flex magazineにも掲載されています。 食事の頻度が人体構成に与える影響と、機能性食品の開発を専門としています。詳細はこちらをご覧ください。
現在は、スポーツ栄養学と食品技術のギャップを埋めることに従事。学術研究に実際の効果などを裏付けとして紐つけています。
ダヴィドについて詳細は、こちらをご覧ください。