
クレアチンを摂取するベストなタイミングはいつなのでしょうか?
偏っていると思われるかもしれませんが、その答えは非常にはっきりしていると思います。
クレアチンを摂取するのであればトレーニング30分前とトレーニング直後の両方に摂取することをおすすめます。直後の摂取ではレーニング後のシェイクに混ぜるとよいでしょう。
そもそもなぜクレアチンを摂取するのか?

クレアチンは、クレアチンリン酸 (CP) と呼ばれる一種のエネルギーの筋肉貯蔵量を増やす働きをします。 CPは短時間の高負荷エクササイズのためのエネルギー生産で重要な役割を果たします。 あまり科学的、専門的になりすぎないように言えば、クレアチンを摂取することでCPの筋肉貯蔵量が増え、ATP-PC系のエネルギー回路への供給を助けることになるのです。 ATP-PC回路は主要なエネルギー回路で、ジムで一番重いようなウエイトトレーニングやパワータイプのエクササイズをしたときに使われる回路です。
さらに、筋肉内のCPが減ると筋肉疲労が増大します。 体内のクレアチン貯蔵量を増やすとCPレベルが高まることが証明されています。 そのため無酸素活動中のワークアウトでより大きな成果が達成できるのです。 また元々体に貯えられているCP量が減るのを抑える働きもします。
このような効用から冒頭の質問の答えがはっきりしてきたのではないでしょうか。 以下のようなメリットがあるのは納得いただけるでしょう。
✓ 筋肉のクレアチン貯蔵量が通常レベル以上になる。 つまり激しいエクササイズにより多くのエネルギーを使えて貯蔵量の減少も少ない。
✓ クレアチンレベルがすばやく回復される。 つまりトレーニング後の回復力が高くなり、また次に体がクレアチンを使いたいと思ったときに使えるクレアチンの貯蔵量が増える。
すでに説明したとおり、筋肉内のクレアチン貯蔵量を増やすことは、クレアチンリン酸の枯渇を遅らせるのに役立ちます。 要するに、筋持久力が高まり筋力とパワーが増大するということです。
クレアチンの効果や効能は?

クレアチンに関するほんの一握りの研究だけでも、以下のような効果が明らかになっています。
✓ 筋力、パワー、RFDの向上。
✓ 短距離走パフォーマンスの改善 (スピードと、ダッシュとダッシュの間の回復力の両方において)。
✓ 敏捷性パフォーマンスの改善。
✓ サイクリング中の脚力の向上。
✓ オリンピックリフティング (スナッチ、クリーン、ジャーク) におけるパワーとリフト重量の向上。
✓ バックスクワットとベンチプレスエクササイズにおける筋力の大幅な増進。
✓ ラグビーやフットボールなどのチームスポーツにおけるパフォーマンスの向上。
またクレアチンにより筋肉が大きく見えます。 クレアチンは筋細胞内に水分を引き寄せるため、筋肉が大きくなるのです。
クレアチンは、筋細胞に水を引き寄せて時にはほぼ一晩にわたって筋肉を大きく見せることができるだけではありません。 この一種の細胞の膨張には実際、筋肉への非常に大きな同化作用があり、タンパク質の合成を増強します。 簡単に言うと,筋肉はクレアチンを使うことで短期的には見た目が大きくなり、長期的にはサイズが大きくなるのです。
またクレアチンは激しいトレーニングの副産物である乳酸と厄介な水素イオンの生成を抑えることが証明されています。
これらの副産物は厳しいトレーニングの終わりごろに筋肉に感じる疲労感の原因となります。 この感覚を少し和らげることで、トレーニング中のレップ数を増やすことができるかもしれません。 同じウエイトでより多くのレップ数をこなすことは、より大きな伸びを意味します。
いつ、どのくらいクレアチンを摂取すべきか?

クレアチンを使う場合、1日20gを4回に (できれば毎回の食事に合わせて) 分けて摂取することが推奨されます。
もしクレアチンローディング(体内のクレアチンの血中濃度を高めること)を選ぶのであれば必ず5日間続け、その後は1日4~10gを摂取するメンテナンス期を設けると良いでしょう。
ローディング期は筋肉内のクレアチンを可能な限り早く増やすのに役立つたので推奨されてます。 ローディング期に入ると体内のクレアチン貯蔵量は最大限まで増えると考えられています。 必要なのはクレアチンレベルを維持、補給するための量だけです。 これは推奨されていますが、必須ではありません。
その代わりに、いくつかの研究ではローディング期は必要ではなく、毎日4~10gを摂取するだけで同じ結果が得られることが証明されています。
なぜトレーニングの前と後にクレアチンを摂取するのか?

理想では、クレアチン摂取のベストタイミングはトレーニングの30分~1時間前とトレーニング直後です。 トレーニング直後はプロテインシェイクと一緒にとるといいでしょう。 30分前にクレアチンをとることで、クレアチンが消化され体内で有効に利用されるのに十分な時間をとることができます。 それによりトレーニングに即効果が現れます。
体自身の持つクレアチンのレベルはあっという間に減ってしまい、補給にはずっと長い時間がかかります。 そのためトレーニング前に体内に十分なクレアチンを貯えておくのは当然のことです。
実質的にエネルギー源であるクレアチンをトレーニング直後に摂取するのはやや常識外れのようですが、トレーニング後の一番の目標が回復とトレーニングによる反応であることを考えれば、完全に筋が通っています。 トレーニング直後の筋肉は乾いたスポンジのようなもので、栄養素に非常に敏感です。 そのためトレーニング直後の時間帯に摂取する栄養素が、体がまさにその時にすべきこと (補給、回復、強化) をするために必要としている栄養素であるという意味で理にかなっています。
これまでのご説明で、トレーニング後のクレアチン摂取がトレーニング前の摂取と少なくとも同じくらい効果的だと納得いただけたかと思います。
まとめ
クレアチンはトレーニング前に非常に効果のあるサプリメントの1つとして摂取するか、または単体でトレーニング30分前に摂取すべきですが、トレーニング直後にもアフタートレーニングシェイクに混ぜて摂取すると、最大限の効果が得られるでしょう。まだ試したことがない方はぜひこの機会にマイプロテインのクレアチンをお試しください。
クレアチンについてもっと詳しく知りたい方は、クレアチン| 効果は? 副作用は?いつ飲めばいい? 摂取量は?の記事も参照してください。
本記事は情報提供および知識向上を意図としたものであり、専門的な医療アドバイスを目的としたものではありません。ご自身の健康に何か懸念がある場合は、健康食品を摂取する前もしくは食習慣を変更する前に、専門医やかかりつけの医療機関にご相談ください。
ジェニファー・ブロウ(Jennifer Blow)はマイプロテインの編集者で、UKVRN*登録の栄養士としてキャリアを始めたばかり。栄養科学の学士号と栄養学の修士号を保有。現在は、スポーツサプリメントの健康・フィットネスへの使用について、科学的根拠に基づいた調査・研究を行なっています。*UKVRN:英国における栄養士の登記簿。登録には高い専門性と能力が必要。
また、エクササイズや健康的なライフスタイルのための栄養科学を専門としていることから、ヴォーグ、エル、グラツィアなどの有名オンライン雑誌に栄養士として登場しています。
これまで、NHS(イギリスの国民保健サービス)と協同で食生活への介入研究を行ったり、オメガ3脂肪酸サプリメントについてや、ファストフードが健康に及ぼす影響についての学術研究など、幅広い経験を積んできました。特に後者に関しては、毎年開催されるNutrition Society Conferenceで発表も行いました。さらに、プロ養成のために開催されるイベントにも多く出席し、常に高い専門性を維持しようと努めています。
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プライベートでは、ヒルウォーキングとサイクリングの愛好家。SNSを通じて、我慢しなくても健康的な食生活が送れることを広めています。