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サプリメント

ブドウ糖の効果と摂取タイミング、脳や筋トレに効く仕組みを徹底解説!

ブドウ糖の効果と摂取タイミング、脳や筋トレに効く仕組みを徹底解説!
Megan Bao
作成者6年 前
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ブドウ糖って何なの? 糖質なの? なら太るんじゃないの? 他の糖とは違うの?

栄養素、サプリメントとして世間一般に知られている「ブドウ糖」という名前。糖質制限ダイエットが流行している最近では、悪者のように扱われることも多いかもしれませんが、実は日々のトレーニングを充実させるためにはとても大切なんです。ブドウ糖を摂るメリットはなんなのか、どのようにトレーニングで効果を発揮するのか、徹底的に解説していきます。

ブドウ糖とは何か?

ブドウ糖、別名、αグルコースは生物が使っているエネルギー単位の中で最も単純な構造の物質です。世の中のあらゆる糖質の原料として使われており、同じαグルコース同士が結合することで麦芽糖になったり、果物に多く含まれるフルクトースと結合することでショ糖(砂糖)になったりします。糖尿病の人などが気にする「血糖値」はこのブドウ糖が血液の中にどのくらい含まれているのかを濃度で表したものです(2)。

マクロとミクロ

トレーニーなら誰もが耳にしたことのある言葉「マクロ」(マクロ栄養素)。これは英語のmacro-nutrientのことで、糖質、タンパク質、脂質のことを指します。この3つをマクロと呼ぶのは、生体内でエネルギーを生み出すのに使われるからです。人間は生きているだけで筋肉や脂肪も含め、細胞の合成と破壊を繰り返しており、このサイクルは莫大なエネルギーを必要としています。ビタミンやミネラルだけではこのサイクルを維持することはできません。ビタミン、ミネラルはこうした代謝反応をスムーズにする役割があるので「マクロ」に対して「ミクロ」と呼ばれています。

体内のエネルギー

人間の体内では、どのような形でエネルギーを摂取しても、最終的にはブドウ糖の形まで分解されて血液中を流れ、エネルギーが必要な臓器に供給されるようになっています。お米や小麦粉に多く含まれるデンプンはブドウ糖がいくつにも連なってできている糖質なので、単純に分解されてブドウ糖になることができます。

タンパク質はアミノ酸まで分解された後、糖新生という反応を経て初めてブドウ糖に、脂質はトリグリセリドと脂肪酸という二つに分解されたのち、トリグリセリドは糖新生を経てブドウ糖になります。脂肪酸だけはβ酸化という反応を経てブドウ糖になることなくエネルギーになることができるのですが、これは非常に時間のかかる反応で、食べてすぐエネルギーにすることはできません(1)。こうしたことを踏まえると、糖質はマクロの中でも最もエネルギー補給に優れた栄養素だと言えます。

体調が悪い時に病院で点滴を打ってもらうと劇的に回復した、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は体力回復に用いる点滴にはブドウ糖が含まれており、病原菌と戦って疲弊した体に血液を介して直接エネルギーを流し込むため、食事で摂取するよりも早く回復するのです。トレーニング後に毎回点滴を打つわけにはいきませんが、ブドウ糖なら摂取した後すぐにエネルギーを筋肉に供給してくれるので、疲労回復の強いお伴となるでしょう。

GI(Glycemic Index)

ブドウ糖は摂取してから15分ほどでエネルギーに変わり始めると言われていますが、それがどのくらい速いのかを数字でわかりやすく示すために、ある指標を用意しましょう。GI、グリセミック指数という言葉を聞いたことはあるでしょうか。糖質50gを摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖を100とした際に相対値で表記したものです。

たとえばスコーンは92、マッシュポテトは83、ドーナツは75、イングリッシュマフィンは77。対して、大豆15、サツマイモ44、桃28、ピーナッツ13、などとなっており、大まかに言えば「ブドウ糖を多く含む食材」を細かく加工するとGIは高くなる傾向にあります(5)。

インスリンの働き

インスリンは人間の体内で血糖値を下げる唯一のホルモンであると同時に、同化ホルモンでもあります。言い換えれば、体を作る上で非常に大切なホルモンです。糖質を口から摂取するとやがて胃に到達します。その後分解を繰り返し小腸まで到達した糖類は、そこで吸収され血中に入っていきます。小腸への刺激と、血中インスリン濃度の上昇に呼応して膵臓のランゲルハンス島B細胞はインスリンを血中に放ちます。

すると血中のインスリンを受け取った筋肉や脂肪、肝臓などは血液に流れるブドウ糖を回収しせっせと溜め込むわけです。こうして血液中のブドウ糖濃度は一定に保たれています。ブドウ糖の形は溜め込んでおくのに非常に不便なので、筋肉や肝臓ではグリコーゲンとして、脂肪細胞では中性脂肪として保存されるのです(1、2)。

インスリンは悪者?

GI値の高い食物はインスリン分泌を一気に促すので太る原因になる、と言われているせいでインスリンを諸悪の根源のように信じている人もいるかもしれませんが、それは全くの誤解です。インスリンが無ければ摂取した糖を保管しておくことができないので、朝起きてから夜寝るまで、そして夜寝た後も延々と糖を摂取し続けなければなりません。それは現実的に不可能なので、一旦貯蔵しておくシステムがあるのは合理的なことだと言えます。

インスリンの優れた点は他にもあります。エネルギーを必要としている臓器に血液を介して糖を供給することで疲労回復が行われます。運動後、最も疲労しているのはどこでしょうか。当然筋肉ですよね。つまり、運動後の血糖値上昇でインスリンが分泌されると、そのインスリンは筋肉に優先的に取り込まれます(3)。すると摂取した糖の大部分は筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されるので、脂肪細胞に変わりにくいのです。

脳と糖

脳は特にエネルギー需要の激しい臓器です。基本的に人間の体はブドウ糖をエネルギー単位としていますが、脂肪酸のようにブドウ糖を経ずにエネルギーになる物質も存在します。しかし、脳はブドウ糖以外をエネルギーとして使うことはできません。つまり血糖値の低下は脳の機能低下を意味します。空腹感は血糖値が下がってきているサインの一つですが、そうすると糖の消費が激しい脳では充分な機能を発揮できず、集中力の低下を引き起こします。集中できないトレーニングは怪我のもとにもなりますね(1、2)。

糖を摂ると太る?

ダイエットはいつ何時もさまざまな手法が試され、流行があるものですが、現在最も注目されているものの一つが糖質制限ダイエットでしょう。なぜ人気なのか、それは効果がすぐ現れるからです。糖質を制限するとあっという間に体重が減ります。1週間で5kg以上痩せる人も中にはいます。では糖は太る元凶なのでしょうか。

実はグリコーゲンを貯蔵しておくためには大量の水が必要です(4)。糖質制限を行うと血中のブドウ糖濃度を維持するために筋肉や肝臓に貯蔵されているグリコーゲンがブドウ糖に分解されます。するとグリコーゲンと一緒に貯蔵されていた水分も一緒に代謝されます。つまり糖質制限ダイエットでは、貯蔵されていたグリコーゲンが減り、さらに水分が排泄されるという二重の効果により、すぐに体重減少が望めるのです。しかし、脂肪細胞が5kg減ったわけではないということに注意しなくてはなりません(1)。

血中のブドウ糖濃度が下がってくると、グリコーゲンが消費されるのと同時に筋肉もアミノ酸に分解されてしまいます。アミノ酸を糖に作り替えるためです。すると筋肉量が減ってしまいますので、体の基礎代謝が落ち、痩せにくい体になってしまいます(6)。始めてすぐに結果がでる糖質制限ダイエットは目の前の甘い蜜であると同時に、痩せにくい体、リバウンドしやすい体を作り、脳が必要としている糖を削ってしまう諸刃の剣だということを覚えておく必要があるでしょう。

ブドウ糖の摂取タイミング

ブドウ糖の最も優れたところは、摂取のタイミングを選ばないということです。脳は常にブドウ糖を必要としていますから、摂取すれば迅速に脳への活力源となるでしょう。練習前の集中力アップにはもってこいです。通常、トレーニング直前の食事摂取は副交感神経活動を活発にさせ、消化管に血液を集めることで、脳と筋肉への栄養供給を減らしますが、ブドウ糖は少量摂取でも血糖値上昇に効果的なのに加え、吸収が速いので、すぐにトレーニングを行うことができます(1、2)。

トレーニング中、エネルギーが枯渇してきた時、トレーニング時間が長い時などは、セット間に補給することで次のセットをより質の高いものにすることができます。トレーニング後は素早い糖質とタンパク質の摂取が重要になってきます。練習後インスリン分泌を促せば、筋肉にブドウ糖が行き渡るばかりか、タンパク質の合成も促してくれます。空腹時は、ブドウ糖を摂取することで、筋肉の分解を防ぎ、脳の働きを高めてくれます。

まとめ

ブドウ糖は消化吸収の非常に速い重要なエネルギー源であると共に、トレーニング後の疲労回復を促してくれる優れものです。質の高いトレーニング、集中力アップ、糖質制限に頼らずカタボリックにならないダイエットをしたいという方におすすめです。

本記事は情報提供および知識向上を意図としたものであり、専門的な医療アドバイスを目的としたものではありません。ご自身の健康に何か懸念がある場合は、健康食品を摂取する前もしくは食習慣を変更する前に、専門医やかかりつけの医療機関にご相談ください。

1. ヴォート 基礎生化学 田宮信雄、松村正実、八木達彦、遠藤斗志也 訳 東京化学同人 2000年 p135-p149,p239-p467
2. 病気がみえるvol3 糖尿病・代謝・内分泌 第4版 第2刷 MEDIC MEDIA 2015年 p4-p107,
3. 使える筋肉・使えない筋肉 第1 版 第3刷  谷本道哉、石井直方 ベースボール・マガジン社 2009年 p158
4. Muscle Myths Michael Matthews Oculus Publishers, Inc. 2013 p87-p148
5. https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/glycemic-index/glucose-level/ 2018/6/4 21:24
6. FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告 1989年

Megan Bao
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