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ベータアラニン | 効果や効用、摂取量、副作用や安全性は?

栄養とサプリメントの世界には、神話のような作り話が溢れています。また、どんなサプリメントのお店に入っても、壁一面 に大量に置かれたタブ型容器・ボトル・パウチ袋と向かい合うことになります。あなたの身体能力や目標にとって最適なサプリメントを選ぶにはどうしたら良いのか、簡単なことではありません。

プロテインクレアチンBCAA、、、、。これらはアスリートや本格的に筋トレを行う人が購入する定番のサプリメントです。しかし、もっと知名度の低いサプリメントが、世間に知られ始めています。それはベータアラニンです。この記事ではそのベータアラニンについて詳しく解説していきます。

ベータアラニンとは何か?

人間の体が使うことのできる20種類ほどのアミノ酸の中には、「必須」のものと、「非必須」のものがあります。アミノ酸は、タンパク質を構成する化学的成分です。

必須アミノ酸は私たちの体では一から作れないので、摂取する必要があります。例えば、ロイシンは、最大の効果を得るためにプロテインシェイクに加えて飲むのが一般的です [1、2]。一方で、非必須アミノ酸も同じくらい重要です。非必須アミノ酸は身体化学反応の副産物として作られたり、食物の成分から合成されます。しかしながら、そのような形での生成だけでは、効用を発揮するのに十分な量を確保できないことがあります。

ベータアラニン (一般的な「アラニン」の異性体) は、その他のほとんどのアミノ酸とは種類が異なり、タンパク質の構成に使われていないと考えられています。魚・豚肉・牛肉・鶏肉など、タンパク質が豊富な食物を通して、ジペプチド有機化合物であるカルノシンを普段から摂取することで、私たちは多くのベータアラニンを取り入れています。また、量はわずかですが、肝臓で核酸が化学分解されることでも生成されます。

ベータアラニンはどのように働くのか?

ベータアラニンを摂取するメリットを理解するには、少しだけ横道にそれる必要があります。身体能力を上げるためにベータアラニンをもっと摂取することは、目的と手段のような関係になります。ベータアラニンは私たちの体に、直接的というよりも、むしろ間接的な効果をもたらします。

ベータアラニンは、ジペプチドカルノシンの「レート制限前駆体」とされるアミノ酸です。つまり、ベータアラニンは、体に直接的な影響を持つカルノシンを生成するための化学反応の中で使われ、ベータアラニンの量によってカルノシンのレベルが制限されることを意味します。

このことからも、私たちの体は主にカルノシンの形でベータアラニンを摂取するという、前述の事実をご理解いただけると思います。

しかし、もしかするとこんな指摘を受けるかもしれません。

  • 食物中のカルノシンからベータアラニンを取り入れてます。
  • カルノシンが体に直接的な影響を持つのであれば、その効用を得るためには、(ベータアラニンを摂取するよりも) 単純に鶏肉や魚や豚肉をもっと食べれば良いのではないですか?

残念ながら、誰もそんなにたくさんの肉製品を毎日食べることはできません。また、肉体的にも、そんなに大量の食物を摂取することはできません。公正な立場で言ったとしても、プロのボディービルダーや、4度の優勝を誇るミスターオリンピアのフィル・ヒースがかけるような食費は、ほとんどの人にとって限度を超えているでしょう。だからこそ、ベータアラニンを補給してそのレベルを上げ、より多くのカルノシンを生成するという方法は合理的な考えだと思います。

カルノシンは何の働きをするのか?

カルノシンは、乳酸バッファーとして働きます。具体的に言えば、細胞内バッファーとして、筋肉組織の内部で働きます。このことをもう少し良く理解するために、上級レベルの生物学を思い出してみましょう。

運動のための燃料を補給するには、体はエネルギーとしてアデノシン三リン酸 (ATP) を取り入れる必要があります。

実際には、以下の3つの方法で行われます。

1.クレアチンリン酸の分解 (ATP-CP嫌気性代謝)

ATP-CP系は、非常に短時間のエネルギー生成に使われます (最大30秒)。この系は、瞬間的にエネルギーを爆発させる時に有効です。

2. 酸素の利用 (好気性代謝)

エネルギー源に糖類の分解を利用する解糖系は、ATP-PC系よりも大きな量のエネルギーをもたらしますが、その持続時間は好気性代謝に引き継がれるまでの2分ほどに限られます。ほとんどのジムで行わるウエイトトレーニングは、この時間内に収まるエクササイズプログラムが組まれます。

3.糖類の分解 (解糖代謝)

好気系は反対に、最もたくさんのエネルギーが得られる方法です。2~3分以上の活動に必要なエネルギーを生成することができます。

しかしながら、この種類の代謝は副産物としてピルビン酸塩を放出し、次に水素イオンを放出して、手足に乳酸が生成されます。これが、運動に伴い体が熱を持つ感覚となります。安静時の血液には、1リットルあたり約2ミリモルの乳酸が含まれていますが、これが運動中は10倍に増えることもあります。

乳酸濃度の増加の影響は、血中PHレベルの低下となって表れます。中性レベルの7より下がると、酸性とみなされます。血中PHレベルが2.85程度まで低下することもあり、そうなると体は過度の組織損傷を防ぐため、緊急の活動を起こす必要があります。また、筋肉が収縮して力を生み出す能力に劇的な影響も与え [3]、疲労を引き起こします! [4]

筋肉組織の中の基本バッファー (乳酸濃度を減らす化学物質) が、カルノシンです [5]。他のシステム (リン酸や重炭酸バッファー) は、主に血液中のバッファーとして働きます。

筋肉組織中のカルノシンレベルを上げるのは、過剰な水素イオンを吸収するスポンジを増やすようなもので、それにより組織のPH値を正常化します。ウエイトトレーニングをする時は、このことがより不可欠になります。強度とより大きな合成 (成長) を担うタイプⅡ筋繊維で、カルノシンレベルを上げてやる必要があるからです。

残念ながら、高強度エクササイズ (最大自転車運動) の前にカルノシンをサプリメントで経口摂取しても、効果は全く示されませんでした。科学的測定 (PH値) およびパフォーマンス (ピークパワーおよび総仕事量) の両方において、変化は見られませんでした [6]。その理由は、消化中のカルノシンの分解は、投与量の40%しかベータアラニンとして利用できないためだと考えられています [7]。

ベータアラニン サプリメントの効果や効用

カルノシンのレベルを修正するには、他の方法を見つけた方が合理的です。ベータアラニンがその答えになると思われます。

カルノシンを増やしてパフォーマンスを強化

ベータアラニン サプリメントの直接的な基本効用は、筋肉のカルノシンレベルを上げることです。前述した通り、カルノシンレベルを上げると、疲労を和らげることができます [8]。カルノシンが増えると、激しい運動中に蓄積される水素イオンのバッファー容量を、増加させることができるからです [9]。

4.8gのベータアラニン サプリメントを4週間摂取し続けると、カルノシン濃度を42%~65%上げられることが分かっています。12週間の摂取では、最大80%上げることができます [10、11]。

別の研究では、筋肉におけるカルノシン含有量の増加が、実際に血中乳酸の蓄積の発現を遅らせるかどうか、調べられました。

ジョーダン他 [12] が見出した結果は、28日間の摂取により、アスリートの体に蓄積される血中乳酸のネガティブな効果を遅らせ、ランニングのパフォーマンスを強化する十分な効果が見られた、というものでした。

運動パフォーマンス向上のためのベータアラニン

ベータアラニンの摂取が、筋肉組織のカルノシン濃度を上げることは実証済みです。また、カルノシンの上昇が、組織に蓄積される乳酸の減少を引き起こすことも説明しました。このサプリメントの効用を示す最後の段階として、そのような生理的変化が、実際の身体能力に何らかの変化を引き起こすかどうか、見てみましょう。

カルノシン濃度と高強度運動の間の重要な関係性は、すでに実証されています [13]。

科学的な研究はいくつかありますが、ベータアラニンの効用については、意見が分かれているようです。「運動測定」(レッグプレスやエクササイズバイク等の身体運動能力に関するテスト等) を調べる研究においては、ベータアラニンが優れた改善効果をもたらすことが示されているようです。

例えば、平均179gの摂取により、トレッドミル (実際の競走ではない) を使ったランニング中の身体能力に、約2.85%の向上が見られました。研究の執筆者が実際に説明するところによれば、これは1,500m走のタイムを6秒短縮する可能性を持ちます。2008年の北京オリンピック決勝で最下位だった選手を、銅メダルまで上げるのに十分な効果です! しかしながら、そのような重大な効用は、「能力測定」(実際の競走でのスピード等) のテストでは示されていません [14]。

145~179gの投与により、エクササイズバイクでの運動能力が、約12%向上したとの結果を示す研究もあります [9、15]。

最後に、膝の伸展運動 (30回の反復) において、筋肉の疲労を遅らせることで、筋力が大幅に向上することを示した研究もあります [10]。

このように、ベータアラニン サプリメントは、「試合当日」のパフォーマンスを強化するためのものではありません。むしろベータアラニンは、長期間にわたりトレーニングを助けるものです。

ベータアラニンの摂取量目安は?

通常は、4~10週間かけて、400~800mgを一定間隔で摂取します [8、9]。しかし、2週間程度でカルノシン濃度が向上することを示唆する研究もあります [11]。

いろいろな研究から平均的な値を求めると、約179gを6~12週間かけて分割摂取することで、摂取計画期間の終わりには、筋肉のカルノシン濃度が最適化されているはずです。当然ながら、長い期間摂取するほど、より多くの濃度が蓄積されます。

ベータアラニンの摂取を続けるために、選択肢もたくさんあります。例えば、プロテインドリンクにマイプロテインのベータアラニン パウダー サプリメントをスプーン1杯加えることで、約1.5gを摂取することができます。同日中にマイプロテイン ベータアラニン タブレットを飲めば、摂取量を2倍にすることができます。

毎日のベータアラニン摂取量を、大量の6gまで増やすには、マイプロテイン MYプレ(プレワークアウト用サプリ)を32g服用してみてください。ベータアラニンをさらに3g増やすことができます。

このルーチン (MYプレをスプーン1杯、ワークアウト後のプロテインシェイクにベータアラニンをスプーン1杯追加、さらにベータアラニンタブレットを1つ服用) により、週3回だけのトレーニング時の服用だとしても、1週間で18gを摂取することになります。これを10週間続ければ、カルノシンレベルが最大化され、トレーニングに効果が現れるはずです。

また、トレーニングを行わない日にも、毎回2g (1gはパウダーでプロテインに入れて、1gはタブレットで) を服用すれば、摂取期間を7週間に短縮し、より早くトレーニングを最適化できます。

ベータアラニンの副作用や安全性

研究が示すところによれば、もし体重1kg換算で10mg以上を摂取すると、知覚障害を起こすリスクがあります。この症状は、一時的な神経の混乱によるもので、基本的に「しびれてピリピリする感覚」が起こります (正座や腕枕をした時に起こるしびれと同じ感覚)。

肌が赤くなってチクチクする感じになり、人によっては動揺するかもしれません。もし不安を感じる場合は、毎回の摂取量を減らすことをお勧めします。

まとめ

ベータアラニンの効用には、いくつかの科学的な裏付けがあるため、お金をかける価値があると言えるでしょう。特に、毎回のワークアウトの効果をもっと上げられるような特別な何かを探している、経験豊富な方に最適です。

摂取したい量に基づき、約8~12週間の服用計画を立ててください。当該期間に約179gを目安に摂取するのが目標です。体重が少ない人は、1回ごとの服用量を減らし、摂取期間を伸ばしてみてください。


1. Crozier SJ, Kimball SR, Emmert SW, Anthony JC, and Jefferson LS. (2005). Oral leucine administration stimulates protein synthesis in rat skeletal muscle. J Nutr 135, 376–382.

2. Langer H. & Carlsohn A. (2014). Effects of Different Dietary Proteins and Amino Acids on Skeletal Muscle Hypertrophy in Young Adults after Resistance Exercise: A Systematic Review. Strength and Conditioning Journal, 36, 3, 33- 42.

3. Sahlin K, Sjoholm H & Hultman E (1981). Effects of lactic acid accumulation and ATP decrease on muscle tension and relaxation. American Journal of Physiology – Cell Physiology, 240, 3, C121-C126.

4. Spriet LL, Lindinger MI, McKelvie RS, Heigenhauser GJF, Jones NL (1989). Muscle glycogenolysis and H? concentration during maximal intermittent cycling. J Appl Physiol, 66, 8–13.

5. Lavender G & Bird SR (1989). Effects of sodium bicarbonate ingestion upon repeated sprints. British Journal of Sports Medicine 23, pp. 41-45.

6. Leveritt M, Begum G & Cunliffe A (2006). Carnosine supplementation does not improve high intensity exercise performance, 9, S9.

7. Stellingwerff T1, Anwander H, Egger A, Buehler T, Kreis R, Decombaz J, Boesch C. (2012). Effect of two β-alanine dosing protocols on muscle carnosine synthesis and washout. Amino Acids, 42(6):2461-72.

8. Harris RC, Tallon MJ, Dunnett M, Boobis L, Coakley J, Kim HJ, Fallowfield JL, Hill CA, et al. (2006). The absorption of orally supplied β-alanine and its effect on muscle carnosine synthesis in human vastus lateralis. Amino Acids 30 (3): 279–289.

9. Hill CA, Harris RC, Kim HJ, Harris BD, Sale C, Boobis LH, Kim CK, Wise JA (2007). Influence of beta-alanine supplementation on skeletal muscle carnosine concentrations and high intensity cycling capacity. Amino Acids 32 (2): 225–33.

10. Derave W, Ozdemir MS, Harris R, Pottier A, Reyngoudt H, Koppo K, Wise JA, Achten E. (2007). Beta-alanine supplementation augments muscle carnosine content and attenuates fatigue during repeated isokinetic contraction bouts in trained sprinters. J Appl Physiol 103 (5): 1736–43.

11. Kendrick IP, Harris RC, Kim HJ, Kim CK, Dang VH, Lam TQ, Bui TT, Smith M, Wise JA. (2008). The effects of 10 weeks of resistance training combined with beta-alanine supplementation on whole body strength, force production, muscular endurance and body composition. Amino Acids, 34(4):547-554.

12. Jordan T, Lukaszuk J, Misic M, Umoren J. (2010). Effect of beta-alanine supplementation on the onset of blood lactate accumulation (OBLA) during treadmill running: Pre/post 2 treatment experimental design. J Int Soc Sports Nutr. 7:20

13. Suzuki Y, Ito O, Mukai N, Takahashi H, Takamatsu K: High level of skeletal muscle carnosine contributes to the latter half of exercise performance during 30-s maximal cycle ergometer sprinting. Jpn J Physiol 2002, 52:199-205.

14. Hobson RM, Saunders B, Ball G, Harris RC, Sale C. (2012). Effects of β-alanine supplementation on exercise performance: a meta-analysis. Amino Acids, 43(1):25-37

15. Sale C, Saunders B, Hudson S, Wise JA, Harris RC, Sunderland CD. (2011). Effect of b-alanine plus sodium bicarbonate on high intensity cycling capacity. Med Sci Sports Exerc 43:1972 197.

16. Culbertson JY, Kreider RB, Greenwood M, Cooke M. (2010). Effects of Beta-Alanine on Muscle Carnosine and Exercise Performance:A Review of the Current Literature. Nutrients, 2(1): 75–98.

17. Bex T, Chung W, Baguet A, Stegen S, Stautemas J, Achten E, Derave W. (2014). Muscle carnosine loading by beta-alanine supplementation is more pronounced in trained vs. untrained muscles. J Appl Physiol, 116, 2, 204-209.

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Gareth Gray

Gareth Gray

Experienced Sports Nutrition Technologist

Gareth Gray is an experienced sports nutrition new product development technologist. He holds a Bachelor of Science in Nutrition and Health and a Master of Science in Sports and Exercise Nutrition. Gareth’s scientific research expertise involves the investigation into the effects of recovery drinks upon sports performance and recovery. He has several years’ experience in designing, formulating and developing sports nutrition products using evidence-based research, from laboratory testing to full-scale production and manufacturing. He regularly attends continuing professional development events and sports nutrition conferences to ensure his practise remains at the highest level. Find out more about Gareth’s experience here: https://www.linkedin.com/in/garethgray1/ In his spare time, Gareth enjoys working on his own physique in the gym, as well as cooking nutritious meals – where he believes balance is key and advocates the odd cheat meal now and again.