近年注目を集めているプラントベース。ベジタリアンやビーガンと似ているようですが、詳しい違いをご存じでしょうか?
サステナブルの観点や栄養面でメリットがあるプラントベースですが、食生活に取り入れる場合は注意点もあります。
この記事では、プラントベースの定義や具体的な種類、そしてビーガンやベジタリアンとの違いについて解説しますので、サステナブルな食生活に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること:
- プラントベースとは?
- プラントベースフードの種類
- プラントベース、ビーガン、ベジタリアンの違いとは
- プラントベースが注目されている理由
- プラントベースの食生活における注意点
- プラントベースのおすすめサプリメント
- まとめ
プラントベースとは?
プラントベース(Plant based)とは、植物性食品を積極的に選ぶ食生活のことです。プラントベース食品とは、植物由来の原材料を使って畜産物や水産物を再現している食品を指します。
植物由来の原料を使うことはもちろん、味や食感においても、肉や魚料理に似せて作っている点がプラントベースフードの特徴です。
プラントベースフードの種類
プラントベースフードは、日々新しい種類のものが開発されています。どのような種類があるのかみていきましょう。
プラントベースミート
プラントベースミートは、大豆やエンドウ豆といった植物由来のタンパク質のみで加工している代替肉のひとつです。「大豆ミート」「べジミート」「フェイクミート」などと呼ばれています。
さまざまな形態のプラントベースミートが開発されており、ブロック型やミンチ型のほか、ハンバーグ、ソーセージ、肉団子、唐揚げ、生姜焼きなどがあります。
プラントベースミルク
牛乳の代替として、プラントベースミルクがあります。
日本人にとっても馴染み深い豆乳は、プラントベースミルクのひとつです。ほかにも、ココナッツミルクやアーモンドミルク、オーツ麦のオーツミルクやお米由来のライスミルクなどがあり、原料ごとに味や栄養素の違いを楽しめるでしょう。
プラントベースフィッシュ
刺身やツナ、鰻などそれぞれの形態ごとに再現したものがプラントベースフィッシュです。
こんにゃく粉で作られた見た目も風味もそっくりな刺身や、エンドウ豆などの豆類で再現したツナ、白身魚やえび・かになどを再現してパン粉をまぶして揚げたものなどがあり、見た目や食感、風味までそっくりになっています。
プラントベースエッグ
卵の代替品であるプラントベースエッグも出回っています。
現在出回っているプラントベースエッグは、卵を溶きほぐしたような見た目の液体状のものや、スクランブルエッグ状のものがあります。液体状のものは通常の卵と同様に加熱によって固まるため、オムレツなどの卵料理をはじめ、お菓子作りなどにも使用可能です。
プラントベース、ビーガン、ベジタリアンの違いとは
プラントベースは植物由来の原材料から作られた代替品のため、ビーガンやベジタリアンと似ているように感じますが、実は定義や考え方が異なります。
それぞれの違いをみていきましょう。
ベジタリアンとは
ベジタリアンは菜食主義者であり、肉類や魚類の摂取を一部制限している人のことです。
宗教的な考え方や、生命の尊厳に基づいて、ベジタリアンは動物性食品の一部を摂らない選択をしています。
ベジタリアンにおいて、動物性食品のうち乳製品を食べる人はラクト・ベジタリアン、乳製品に加えて卵を食べる人はラクト・オボ・ベジタリアンと呼ばれます。
ヴィーガンとは
ヴィーガンは完全菜食主義者のことであり、動物性食品を全て避けている人を指します。
ベジタリアンと同様に動物愛護や環境保護が考え方の基盤ですが、ヴィーガンの場合は特に、動物の尊厳を重視し搾取しないことが目的です。
さらに、ヴィーガンの方の中にはフルータリアンと呼ばれる植物を殺さない食品のみ摂取する人もいます。りんごやトマトなどは食べても木や苗木が死なないので食べられますが、にんじんなど食べるとそのものを殺すことになる植物は食べません。
プラントベースとの違い
プラントベースは、環境面や健康面を考慮して植物由来の食品を選ぶことです。そのため、動物愛護や倫理観によるベジタリアンやヴィーガンとは考え方の基盤が違うといえるでしょう。
そのため、植物由来の食品を積極的に選びつつも完全に動物性食品を禁忌としないプラントベースは、新しい食の選択肢のひとつといえます。
プラントベースが注目されている理由
現在、プラントベースが注目されている理由は、大きく分けてサステナブルの観点と健康面があります。
持続可能性や生活習慣病対策など、プラントベースを取り入れるメリットを解説します。
サステナブル
SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれている現在、プラントベースはサステナブルな取組みのひとつとして注目されています。
世界の人口は増加の一途をたどっており、2050年までには97億人に達するといわれている中、肉や魚は有限な資源のため、供給量が追い付かない恐れがあるでしょう。
また、家畜の飼育には多くの飼料はもちろんのこと、大量の水が必要です。世界において干ばつや水資源の枯渇が問題視されている中、1kgの牛肉を作るために飲料用や牛の飼料である穀物の栽培用として約20,000倍の水が必要といわれています。
さらに、家畜のゲップから発生するメタンや排泄物に含まれる一酸化二窒素は、温室効果ガスの一種であるため、家畜の飼育は地球温暖化の要因としても問題視されています。
プラントベースフードを取り入れることによって、人口増加にも対応した食料の供給が可能になるほか、家畜の飼育数が減少することによる水の節約や温室効果ガスの抑制といった可能性が期待されているのです。
健康志向と食の満足度の両立
プラントベースは、食の満足と健康志向が両立できる方法としても注目されています。
現代の食事において、カロリーや脂質の摂りすぎに伴う健康への影響が懸念される中、プラントベースフードを活用することで、動物由来の肉に含まれる飽和脂肪酸等の摂取量を抑えつつ同等のタンパク質を摂取することが可能となります。
さらに、植物由来の原料でヘルシーでありながらも食の満足度が保てる点も期待されています。例えばプラントベースミートを使ってジューシーなキーマカレーやボリューミーなハンバーグなどが楽しめるでしょう。
プラントベースフードを活用することで、植物由来の食品による物足りなさを感じることなく健康的な食生活ができるようになります。
プラントベースの食生活における注意点
サステナブルな観点や健康面から注目されているプラントベースですが、栄養素などの課題もあります。
注意点を加味しながら食生活に取り入れていきましょう。
栄養素が隔たらないようにする
プラントベースの食生活によって栄養素が偏らないようにしましょう。
プラントベースフードは、満足感を高めるために植物油や糖質が多く含まれている場合があるため、肥満などかえって健康面に影響を及ぼす恐れがあります。
1日1食、週1回など自分の生活や嗜好に合わせて始めてみるほか、適度に動物性食品を取り入れるなど、無理せず取り入れるようにしてみると良いでしょう。
摂りにくい栄養素を補う
プラントベースの食生活では、タンパク質をはじめビタミンやミネラルが不足する場合があります。特にタンパク質は不足しやすくなるため、アミノ酸スコアが高い大豆や大豆製品、あずき、そばの実などを活用しましょう。
植物性食品の非ヘム鉄は、動物性食品に含まれる非ヘム鉄よりも吸収しにくいため、鉄も不足しがちです。ほかにも魚介類に多いビタミンD、肉や魚介類に多いビタミンB12、魚に多いDHAやEPA、さらに乳製品に多いカルシウムや牛肉・貝類に多い亜鉛などが不足しがちです。
そのため、摂りにくい栄養素はサプリメントなどを活用しながら補給するようにしましょう。
原材料をよく確認する
ヴィーガンやベジタリアンの方がプラントベースフードを取り入れる場合は、原材料名をよく確認しましょう。
プラントベースフードの中には、動物由来の食品や添加物が含まれている場合があります。
一般の方が取り入れる際はあまり問題ありませんが、ヴィーガンやベジタリアンの方は、細かく確認してプラントベースフードを選ぶようにしましょう。
プラントベースのおすすめサプリメント
健康的にプラントベースの食生活を行うには、不足しがちな栄養素をサプリメントで補うと良いでしょう。
プロテインやスナックなど、プラントベースのサプリメントをご紹介します。
エンドウ豆や米、大豆といった植物由来のプロテインです。乳製品を使わず完全に植物由来のプロテインのため、ヴィーガンの方も安心してお使いいただけます。
植物ベースの食事をしつつ、トレーニングに励みたい方に特におすすめのプロテインです。
ソイプロテインは、大豆が主原料であり、9種類の必須アミノ酸が含まれています。さらにゆっくりと吸収され腹持ちが良いためダイエット中の方にもおすすめです。
マイプロテインのクリアソイプロテインは、ザラつきがなくジュースのように飲みやすい仕上がりとなっています。
ビーガンスナックとして、植物由来の食品で作ったプロテインバーやクッキーなどがあり、不足しがちなタンパク質が補えます。
一般的なチョコレートや焼き菓子は乳製品や卵が使われている場合が多いため、ビーガンスナックを活用することで甘いものを楽しむことができるでしょう。
まとめ
今回はプラントベースの特徴や取り入れる際の注意点について解説しました。プラントベースによって、食を楽しみつつ環境と健康に配慮した食生活ができるといえます。
植物由来の食品を積極的に取り入れることによるメリットもありますが、不足しがちな栄養素もあるので、サプリメントなどを活用して健康を損ねることがないようにしましょう。本記事は情報提供および知識向上を意図としたものであり、専門的な医療アドバイスを目的としたものではありません。ご自身の健康に何か懸念がある場合は、健康食品を摂取する前もしくは食習慣を変更する前に、専門医やかかりつけの医療機関にご相談ください。